コラム

デジタル社会形成整備法の改正ポイント

政府は、行政手続きの効率化とデータ活用を進めるため、デジタル社会形成整備法の一部改正案を提出しました。
今回の改正は、行政と民間が利用するデータ基盤を整え、手続きのオンライン化をさらに推し進めることが目的です。


◆ 新旧比較表(主要ポイント)

項目旧制度改正(新)期待される効果
ベース・レジストリ(公的基礎情報データベース)各省庁や自治体がバラバラに管理国が統一的に整備し、情報連携を推進住所変更等で複数機関に重複手続き不要(ワンスオンリー)
データ品質の向上・管理義務明確な法規定が弱い公的データの正確性・最新性・統一仕様の確保を法的に義務化データの誤りや二重登録の防止、信頼性向上
行政手続きのオンライン化・ペーパーレス化紙・押印・窓口が前提の手続きが多数電子化・オンライン申請・ネット掲示を原則化手続きの負担削減、時間とコストを大幅に削減
マイナンバーカードICカード物理利用が中心/券面に性別表記ありスマホ搭載・オンライン本人確認対応/券面の性別表記削除認証・本人確認の高度化、情報管理の安全性向上
制度の継続的見直し(デジタル原則)規制見直しの体系化が不十分デジタル原則に基づき、定期的に制度更新技術進化に遅れない制度運用を確保

◆ 改正が示す方向性

  • データ管理・データ品質は、システム設計の中心課題になる

  • API/共通仕様/標準データ形式への対応が加速

  • マイナンバー×スマホによる 本人確認サービスの進化

  • 行政と民間のデータ連携が前提となる社会へ移行


◆ 今後の実務で求められる視点

  • データの正確性・更新性を担保する運用設計

  • 標準API/データ統一仕様への対応

  • 認証・本人確認まわりの設計見直し

  • 分散管理から共通基盤接続を意識したアーキテクチャ


◆ まとめ

今回の改正案は、単なる制度変更ではなく、
行政・企業・個人のデータ活用基盤を統合し、手続きそのものを簡素化するための基盤整備です。

これからのサービスやシステムは、
「データ品質」「標準化」「連携」を前提として設計することが求められる時代に入ります。