コラム

Gmailの「外部メール受信(POP)/Gmailify」廃止が与える影響と今後の対策

    2025年、Googleは Gmail の重要な仕様変更として、長年提供されてきた 外部メール(POP受信) および Gmailify のサポート終了を発表しました。複数のメールアドレスを Gmail で一元管理していたユーザーにとっては、大きな仕様変更となります。本記事では、廃止される機能の具体的な内容から背景、影響範囲、そして今後の実務的な対策までをわかりやすくまとめます。

■ 廃止される機能とは?

2026年1月以降、以下の Gmail 機能が利用できなくなります。

● 1. 外部メールのPOP受信

Gmail の「他のメールアカウントを追加」機能を使い、Yahoo!メール/プロバイダメール/独自ドメインなどの外部メールを POP経由で Gmail 内へ取り込む機能 が停止します。

● 2. Gmailify

外部メールアドレスに対し、Gmailの利便機能を付与する仕組み(例: 高度な迷惑メールフィルタ、受信トレイのカテゴリ自動分類、高精度検索、通知の最適化)も外部アカウントへ適用できなくなります。

■ なぜ廃止されるのか?

Google は全面的な詳細を公開していませんが、業界では下記が指摘されています。
  • POP/POP3プロトコルの技術的な限界 — 古いプロトコルのため暗号化や認証方式が現代の基準に合わない。
  • Gmailのサービス構造の簡素化 — セキュリティとメンテナンス性向上のため、古い方式の整理を進めている。

■ 影響を受けるユーザーとは?

次に当てはまるユーザーは影響が大きくなります。
  • Gmail を「メールのハブ(統合受信箱)」として使っていた
  • 複数の仕事用/私用メールを Gmail で一元管理していた
  • Yahoo! や独自ドメインのメールを Gmailify で高精度フィルタにかけていた
  • Gmail のブラウザ版だけで外部メールを管理していた
なお、Gmail 自身のPOP/IMAPは継続、および 外部メールをIMAPでアプリに追加する方式は継続 します。

■ 廃止後はどうなるのか?

  • 2026年1月以降、外部アカウントを新規追加してPOP受信することはできない
  • 既存のPOP設定は順次無効化され、メールは取得されなくなる
  • Gmailify によるフィルタリング機能も適用不可になる
  • Gmailにすでに取り込んだ過去メールは残る
  • スマホの Gmail アプリでは、外部アカウントを IMAP 接続して利用できる(継続)

■ 今後どうすればいい?実務的な対策

影響を受ける可能性がある場合は、下記の対策を検討してください。

1. IMAPでの直接アクセスに切り替える

外部メールアカウントを Gmail アプリ、Outlook、Thunderbird、Apple Mail などへ IMAPで追加して管理します。IMAPは同期が高速で、端末間で既読/未読が一貫します。

2. 外部メール側で“Gmailへの自動転送”を設定する

メールサービス提供元で、受信したメールを Gmail へ転送する設定に切り替える方法です。メリットと注意点は以下の通りです。
  • メリット: Gmail で一元管理を実質的に継続できる。
  • 注意点: 転送に失敗した場合の検知、迷惑メール判定が外部サービス依存になる点に留意。

3. 外部メール専用のクライアントを使う

複数アカウント管理に強いメールアプリ(Outlook/Thunderbird/Sparkなど)へ移行することで、安定したマルチアカウント運用が可能です。

4. 複数アドレス運用を整理する

この機会に以下を検討してください。
  • 本当に管理が必要なアカウントはどれか
  • 受信専用のアドレスは統合できないか
  • 独自ドメインメールはどこで管理するか

■ 移行チェックリスト(簡易)

  1. 自分の Gmail に外部アドレス(POP設定)が登録されているか確認する
  2. 外部アカウントでIMAPが利用できるか確認する(できるならIMAP設定へ切替)
  3. 外部サービス側で自動転送設定が可能か確認する
  4. 業務利用で重要な受信は、転送やIMAP利用のうえ監査ログや受信確認の体制を整備する
  5. 必要に応じて、社内ユーザーへ変更スケジュールと手順を共有する

■ まとめ

今回の変更により、Gmailは「複数アカウントの受信ハブ」としての機能を縮小します。今後は、より安全でモダンな IMAP接続や、メールクライアントアプリの利用が現実的な選択肢となります。 特に複数のメールアドレスを業務で運用している場合は、2025年中に設定の見直しを行うことを推奨します。