コラム _ 2025年12月11日 Gmailの「外部メール受信(POP)/Gmailify」廃止が与える影響と今後の対策 2025年、Googleは Gmail の重要な仕様変更として、長年提供されてきた 外部メール(POP受信) および Gmailify のサポート終了を発表しました。複数のメールアドレスを Gmail で一元管理していたユーザーにとっては、大きな仕様変更となります。本記事では、廃止される機能の具体的な内容から背景、影響範囲、そして今後の実務的な対策までをわかりやすくまとめます。 ■ 廃止される機能とは? 2026年1月以降、以下の Gmail 機能が利用できなくなります。 ● 1. 外部メールのPOP受信 Gmail の「他のメールアカウントを追加」機能を使い、Yahoo!メール/プロバイダメール/独自ドメインなどの外部メールを POP経由で Gmail 内へ取り込む機能 が停止します。 ● 2. Gmailify 外部メールアドレスに対し、Gmailの利便機能を付与する仕組み(例: 高度な迷惑メールフィルタ、受信トレイのカテゴリ自動分類、高精度検索、通知の最適化)も外部アカウントへ適用できなくなります。 ■ なぜ廃止されるのか? Google は全面的な詳細を公開していませんが、業界では下記が指摘されています。 POP/POP3プロトコルの技術的な限界 — 古いプロトコルのため暗号化や認証方式が現代の基準に合わない。 Gmailのサービス構造の簡素化 — セキュリティとメンテナンス性向上のため、古い方式の整理を進めている。 ■ 影響を受けるユーザーとは? 次に当てはまるユーザーは影響が大きくなります。 Gmail を「メールのハブ(統合受信箱)」として使っていた 複数の仕事用/私用メールを Gmail で一元管理していた Yahoo! や独自ドメインのメールを Gmailify で高精度フィルタにかけていた Gmail のブラウザ版だけで外部メールを管理していた なお、Gmail 自身のPOP/IMAPは継続、および 外部メールをIMAPでアプリに追加する方式は継続 します。 ■ 廃止後はどうなるのか? 2026年1月以降、外部アカウントを新規追加してPOP受信することはできない 既存のPOP設定は順次無効化され、メールは取得されなくなる Gmailify によるフィルタリング機能も適用不可になる Gmailにすでに取り込んだ過去メールは残る スマホの Gmail アプリでは、外部アカウントを IMAP 接続して利用できる(継続) ■ 今後どうすればいい?実務的な対策 影響を受ける可能性がある場合は、下記の対策を検討してください。 1. IMAPでの直接アクセスに切り替える 外部メールアカウントを Gmail アプリ、Outlook、Thunderbird、Apple Mail などへ IMAPで追加して管理します。IMAPは同期が高速で、端末間で既読/未読が一貫します。 2. 外部メール側で“Gmailへの自動転送”を設定する メールサービス提供元で、受信したメールを Gmail へ転送する設定に切り替える方法です。メリットと注意点は以下の通りです。 メリット: Gmail で一元管理を実質的に継続できる。 注意点: 転送に失敗した場合の検知、迷惑メール判定が外部サービス依存になる点に留意。 3. 外部メール専用のクライアントを使う 複数アカウント管理に強いメールアプリ(Outlook/Thunderbird/Sparkなど)へ移行することで、安定したマルチアカウント運用が可能です。 4. 複数アドレス運用を整理する この機会に以下を検討してください。 本当に管理が必要なアカウントはどれか 受信専用のアドレスは統合できないか 独自ドメインメールはどこで管理するか ■ 移行チェックリスト(簡易) 自分の Gmail に外部アドレス(POP設定)が登録されているか確認する 外部アカウントでIMAPが利用できるか確認する(できるならIMAP設定へ切替) 外部サービス側で自動転送設定が可能か確認する 業務利用で重要な受信は、転送やIMAP利用のうえ監査ログや受信確認の体制を整備する 必要に応じて、社内ユーザーへ変更スケジュールと手順を共有する ■ まとめ 今回の変更により、Gmailは「複数アカウントの受信ハブ」としての機能を縮小します。今後は、より安全でモダンな IMAP接続や、メールクライアントアプリの利用が現実的な選択肢となります。 特に複数のメールアドレスを業務で運用している場合は、2025年中に設定の見直しを行うことを推奨します。 企業におけるAI活用事例2025年11月28日